2012年5月22日火曜日

文献抄読①


本日の文献抄読です。。

Race and ethnic differences in health beliefs about lower urinary tract symptoms
Nurs Res. 2011 May-Jun;60(3):165-72.

特に様々な病気の症状と行動については,健康概念というのはとても大事な役割を担っている。そしてこの行動は人種や民族性によって変わってくる。
この研究の目的は,下部尿路症状について健康概念について人種や民族を通して,症状とそれについての行動のgapを理解することである。
 方法としては,半構造化インタビューを用いで質的研究を実施している。黒人,ヒスパニック系,そして白人で35人の人から,下部症状についてのインタビューをとった。原因,結果,継続性そして治療について調査した.
 結果は,それぞれ違った解釈をしている。白人は下部尿路症状(LUTS)を老化現象の一つとしてとらえ,治療は必要ないという共通の認識をしている。
黒人は,LUTSを自分自身、個々の行動をコントロールできなくなってしまったという認識であり、治療は必要ないというという認識をしている。
そしてヒスパニック系の人は,症状のことについての原因については考えず,将来の健康に続くものだと考えていた。
 考察として,社会文化的背景の違いがこの認識を作っているという発見によって,文化的能力の必要性が強調されたのこと。


この論文はちょっと興味があった。下部症状という共通して起こりえる病態でさらに治療可能なもの対して,人それぞれがどう感じているかということを記述されている。
 地域性や年齢によっても、日本の医療現場では普通に起こっていることだと思う。
読んでいてすべての人種や民族性に共感を覚えた。

具体的には。
 白人は,「well,we’re getting older. So,we’re not going to get better,we’re just going to get worse.Isn’t that the process?」と話されている。
 病棟で高齢者をみていると、「もうこんなに生きてからだにガタがきてるんだから、しょうがない。そんなもんやろー?」と聞こえてくる。
 黒人に関しては、「the time factor in which I’m taking the fluids.I think that’s why I have to get up during the night and go to the bathroom」「to do these exercises with your vagina to keep it strong!!I didn’t do the exercises,so now I’m suffering
 このような人もいるね。「きっと時間のせいだわ。夜中におきてなきゃいきなかったの。」
「おしりを強くする運動をしてなかったからこの病気になったんだ!」みたいな感じ。ちょっと黒人の文化は体育会系みたいな感じでちょっと読んでて笑いました。
 そして最後はヒスパニック系の人たち。「one thing leads to another!!」「chain reaction
このようなネガティブの人もいますね。「あーきっとこれから別のことが起こるんだー」「連鎖反応だー」のような意味合い。

しかし、ここからが大事な話。このような様々な人々がいろいろな症状のことをそれぞれ独自の考え方で接している。そのため、この論文では,LUTSであったが,治療可能なものまでも治療開始が遅れてしまったり、とケアできる人たちが見過ごされているのも現状であると述べている。
最後にこの研究の限界点を述べている。
    この認識と行動の関係性というのは評価が正確に評価できていないということ。
    対象者の割り当てに限界があるということ。
    サンプルサイズが少ないということ。(ここでは35人)
3つを挙げている。

この論文の総評としては,それぞれの患者さんには生活歴,教育歴があり,そして社会文化的背景があるということである。その背景を読み取ったうえで治療にあたり、患者さんと接するということをうまく表現している質的研究であると感じた。
私は文化的背景というところで調査はしないが同じようなことが高齢者の中で起こっている。一つずつ解決していきたいと思う。(読んで書く練習1時間40分。。。)

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