2012年5月29日火曜日

文献抄読 5 高齢者に対するシスティマティックレビュー


The effectiveness and cost-effectiveness of respite for caregivers of frail older people.
Mason A, Weatherly H, Spilsbury K, Golder S, Arksey H, Adamson J, Drummond M.

要約 500
現在虚弱高齢者、そして介護者が増加している。その中でレスパイトケアが高齢者と介護者護者のQOLを保つために重要な役割を担っていると言われているという背景がある。
論文では,既存の研究では虚弱高齢者における研究ではなく特定の病気であったり,レスパイトケアに重点を置いた研究ではなかったので費用対効果を調査し総合的に評価する研究をした。
 方法としては,システマティックレビューを行った。対象となった論文は,十分にコントロールされた論文のみ? メタアナリシスにはuncontrolled studiesも含まれていますよ?)を選択し37のデータベースから探し,全部で22編の論文をレビューした。(メタ解析した、という言葉、何と比較した、アウトカムが何か、は必須)
結果は,レスパイトケアを利用した方が介護者の負担感を減らし,精神、身体的によく働く(→良い影響を及ぼす)という小さい結果(? レスパイトケアが介護者の負担感や精神的身体的に及ぼす影響は小さい、ということ?)や経済的に,デイケアでは,普段の変わりないケアよりも少なくともコストがかかっていることが分かった。しかしレスパイトケアが老人ホームに入るのを遅らせたり,虚弱高齢者ににとって良い(悪い)影響があるという有効な証拠は見つからなかった。
結論としては,増えていく虚弱高齢者に対して,よいエビデンスは必要とされていることを政策に知らせる必要がある。 政策や臨床現場で生かすためにレスパイトに関する良質なエビデンスが緊急的に必要である。460字)

(参考に)
高齢者が増加する中、レスパイトケアは高齢者本人とその介護者のQOLを維持するために重要な役割を担っている。本システマティックレビューの目的は、いくつかの異なるモデルの地域レスパイトケアが虚弱高齢者とその介護者に及ぼす効果(介護負担感やうつ軽減、虚弱高齢者の施設入所遅延)と費用対効果を明らかにするものである。37のデータベースから得られた文献とその参考文献から、22の良質な研究を選び、レスパイトの介護者への効果を「いつもと同じケア」「他のサポート介入」と比較してメタ解析した。コストも経済学的に評価した。良質の比較研究で得られたデータでは、すべての種類のレスパイトが介護者に与える効果は一般的に小さいことが分かった。しかし、多くの研究は、介護者の高い満足度を示した。レスパイトが施設入所を遅らせるという証拠は得られなかったが、逆に虚弱高齢者本人に不利に働くというエビデンスも出なかった。デイケア利用は普段通りのケアと比較して同等またはやや高いコストがかかることが分かった。
虚弱高齢者が増え続ける中で、今後現在の政策や臨床現場に生かすために、レスパイトの効果に関するより質の良い研究が緊急的に必要である。(498字)

・背景は割とよく書けている
・一番大切なのは、本研究の目的、そのために行った研究のデザイン(システマティックレビュー、メタ解析)、結果がどうであったか、それに対してどう考察するか。


背景 400
ここ40年間で,様々な国々で高齢者が増えている。最近では,高齢者の介護者は2200万人いて2050年には,4000万人にも上ると予想されている。
 また虚弱高齢者という概念が老年医学では重要な概念となっているが,この概念はとても複雑であり,定義はまだ浸透していない状態である(浸透していないという記載はない)
そのような中高齢者のケアでレスパイトケアがある。レスパイトケアとは、デイケア、自宅でのケア、ビデオや道具を使ってのケア、ホストファミリーのケアや高齢者が短期間サービスを提供する家に泊まるといったケアを含んでいる。このような状況の中アメリカでは,介護者にサポートサービスとして,金額がおりるようになった背景がある(まだ法令化されていないと記載あり)
我々は,既存の研究では虚弱高齢者における研究ではなく特定の病気であったり,レスパイトケアに重点を置いた研究ではなかったのでレスパイトケアは現在重要な役割を担っており、費用対効果を調査し総合的に評価することは必須である。(主語、述語が??)391字)

・主語、述語の一貫性を保つこと
・最後の一文が最も大切なのに、主語述語があいまいで内容が不明確。分かっていない事は何か、この研究で明らかにしたい事、今後の虚弱高齢者ケアで必要になる事は何かを明確に述べる必要がある。

(参考に)
高齢者増加は著しい。彼らの多くは在宅で家族に介護されている。アメリカでは現在2200万人の家族介護者がおり、2050年までには倍増するとされる。虚弱高齢者という概念はまだ論争中で、身体的、精神的、社会的虚弱を含むその概念は複雑である。彼らは多くのサポートを必要とし、それが介護者負担となりQOLを損なう恐れもある。
レスパイトは自宅もしくは施設で間欠的に提供され介護者に一時的休息を与える。デイケア、自宅レスパイト、その他のケアの組み合わせなど様々な形式がある。
レスパイトは虚弱高齢者の介護者に良い効果が期待されているがその効果や費用対効果は依然不明確である。
過去の研究は、虚弱高齢者全般でなく特定の疾患領域を対象にしており、またレスパイトに焦点を当てずサービス全般を介入因子としていた。今後高齢者が増加し、レスパイトが重要な役割を果たす場合、そのエビデンス、効果的かつ費用対効果の良いサービスモデル構築は必須である。(400)


考察 400
様々な結果より、介護者の介護負担感や精神的な面での影響は多少なりとも結果は出た(どのような結果が出たかを明確に記載)が,直接政策に結びつけることができる結果ではなかった。その費用対効果の結果ついて政策に知らせることができない理由(確たるエビデンスが出なかった理由)2つあると筆者は考えている。もとになっている論文が様々な方法によって結論付けられており重要な問題が複雑に絡んでいる(要はどういうこと??)。そのため解釈が難しいということ。2つ目として,この結果が他の集団での適応があるかどうかは不透明であることを挙げている。そのため,複雑な介入の見方の中で,パイロットスタディをすることが必要である。その方法としては,その要因を理解するのは難しいため、質的研究を利用することによって補うことができるかもしれないと述べている。(介護者のレスパイト利用に影響を与える要因(金銭的障壁や手に入りやすさ)、介護負担軽減や身体的精神的健康に影響を与える原因がまだ明らかになっていない、ということだよね?質的研究のデメリットに関する記載もあり、質的研究が良いと結論づけてはいない)313字)

・まずこの研究で得られた結果を述べること。
・思うような結果が得られなかった理由に関しては、まずまず良くまとまっている。(一つ目は日本語があいまいだが)
・今後どのような研究手法が良いかについて、再考の必要あり。質的研究が良いとは筆者は書いていない。

(参考に)
本研究では虚弱高齢者の介護者の負担感や健康に対するレスパイトの効果は小さいことが分かったが、満足感は総じて高いことが示された。施設入所を遅らせるという証拠はなかった。レスパイトのコストは普段のケアと比較して同等もしくは高額であった。種々のレスパイトのどれも費用対効果について明確な結論は出ず、今後の政策や現場に生かすことが難しい。確たるエビデンスが出なかった理由として①含めた論文の質に問題があり結果の解釈を難くした、②良質な研究はあったがデザインやアウトカム評価に問題があり他集団に結果を適応できるか不明であったことなどが考えられる。今後一つでも良質な比較研究が出来れば良いが、RCT、質的研究、後ろ向き観察ともデザインに一長一短ありさまざまな手法の組み合わせが望ましい。また、サービスの手に入りやすさ、利用しやすさ、金銭席障壁なども介護者の負担感やサービス利用に栄養を与えるため今後調べる必要がある。 (400)

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